しなやかマインドの真の探究者
主体的に学び、周囲が驚くほどぐんぐん成長していく子どもには共通するものがあります。それは、好奇心にあふれ、時にはうまくいかないことも含めて、目の前にあることを心から楽しみ、粘り強く取り組める「しなやかマインドの真の探究者」であることです。
- 好奇心旺盛で目の前にあることを心から楽しむ
- やればできるのマインド(チャレンジ精神/諦めずにやり抜く)
- 他人からのアドバイスを素直に聞く(批判と捉えない)
- うまくいかないことさえも楽しんでしまう(面白がり)
主体的な学びのキーは「マインドセット」と「学び方」
一方で、子どもたちの口癖ともなっている「面倒くさい・・・」や、自分で考える前に「いいから答えを教えて」などの言葉、そして「できそうもないことには消極的」だったり、「失敗を恐れてチャレンジしない」ことや、「学んだことを他のことに応用するのが苦手」という傾向もみられます。これらは「マインド」の問題であったり、「学び方」の問題に分けて考えることができます。
つまり、しなやかなマインドを育て、学び方を身につけることでこうした問題は解決することができ、初期学習者にとって最も優先すべきことは、知識ではなく、学ぶことを楽しむマインドを育て、試行錯誤して学ぶ学び方を身につけることなのです。これらが身についていれば、本来持っている好奇心・探究心を発揮して物事の概念を学ぶことでき、実際に使える(応用できる)知識を身につけることができます。
分数の分からない子どもたち
日経BP「分数ができない子どもたち」によると、
- l「1/2+1/3=5/6」と計算できても、「『1/2+1/3』の答えに最も近い数字は、0、1、2、5どれか」という問題を出されると、中学2年生の半数以上が間違えた。「1」と正答できた生徒は47.8%で、34.2%の生徒が「5に近い」と答えた。
- l小学生に、「1/2と1/3では、どちらが大きいですか。」という問題を出した。学年別の正答率は、小学3年生で17.6%、小学4年生で22.4%、小学5年生で49.7%となっている。
そんな馬鹿な・・・と思うかもしれませんが、これが実情なのです。分数の計算方法は知っていても、分数の概念を理解できていないことが推測できます。
「学ぶ」は「憶える」ではない
学ぶことは憶えることではありません。
分数の計算ができる(計算の仕方を知っている)からといって分数、分母や分子の概念を理解している訳でありません。上の例の1/2と1.3の大きさの違いが理解できていない場合、計算方法を知っているだけで分数の概念を学んだ訳ではありません。上の分数は一例にすぎず、概念を理解することなく、表面的な解き方を知っているだけの場合は少なくありません。
これは結果を重視し(答えが合っていればよい)、試行錯誤して概念をしっかり学ぶということを疎かにしてきた結果なのではないでしょうか。計算問題に速く正確に解くことが目的となってしまい、意味をよく考えて学ぼうとしないため、使えない知識となってしまっているのです。
試行錯誤(推論と検証)して学ぶ重要性
物事の概念を学び、自分自身の知識体系を形づくっていくためには、試行錯誤して学ぶプロセスが不可欠です。この点、ロボット制作やプログラミングといったものづくりは物事の概念を学ぶ学び方を身につける上でとても有効です。モデルを使った(実験)を通じてみつかった原理を様々な活用方法を自分の手と頭を使った試行錯誤する学びで概念化します。さらに、その原理を利用して取り組むオリジナル作品の制作では、試行錯誤を通じて居抽象化した知識を具体化する作業でもあり、学びをより深めます。
初期学習者が優先して学ぶべきこと
このよううに、学ぶことは憶えることではなく、試行錯誤を通じて概念を修正していく大変な作業なのです。そして、推論して実行した結果から、何度も修正してやり直す試行錯誤のプロセスは時間も掛かり、簡単な作業ではありません。好奇心や探究心、うまくいかないことも面白がって最後まで諦めずにやり抜くマインドなども大切です。
様々な要因で閉ざされたしまった好奇心・探究心のフタを開き、試行錯誤して学ぶプロセス面白がるマインドを育てることは何を学ぶにしても必須のもので、ここが十分そだっていない初期学習者は、好奇心・探究心のフタを開き、学び方を学ぶことを優先すべきで、ここさえ身についていれば心配はいらないのではないでしょうか。