多くの子どもたちと関わってきましたが、主体的に学び、こちらが驚くほどスポンジのようにどんどんと吸収していく子どもには共通するものがあります。それは、知的好奇心が旺盛で「面白がり」だということ。うまくいかないことも含めて、時には周囲を巻き込んで、目の前にあることを心から面白がれるのです。
また、「答えのない課題を周囲と協力しながら問題解決できる人材」が求めらる現代。大きな成果を成し遂げた人に共通しているのが、「やり抜く力」、すなわち「情熱」と「粘り強さ」を持っていることです。「面白がる」「情熱」「粘り強さ」、大人であっても子どもであっても大切な力の源、それは「好奇心」や「探究心」ではないでしょうか。
身近にあるちょっとしたことに気づき面白がる
実は、面白がるネタは身近にたくさんあります。ところが、大人も子ども忙し過ぎる現代では、効率やすぐに目に見える結果を求めてしまいがちです。身近にあるちょっとしたことを面白がるという好奇心や探究心の原点ともいえる活動が看過されてしまっているように感じます。
変化の激しい現代において重要とされる「主体的に学び続ける力」。一朝一夕に身につくものではなく、一時的に激しく燃え上がるテンション(スポーツの試合の直前の円陣のようなもの)ではなく、炭火のようにじわじわと燃え続ける学びのモチベーションを保ち続けなくてはなりません。その源となる好奇心や探究心をじわじわと大切に温めていく、幼少期の学びで大切なことの一つではないかと思います。
立ち止まったり、寄り道して学びのタネを蒔こう
一方で、現実に目にする子どもたちの学びの多くは、途中にある面白そうなモノ・ヒトには目もくれず、アウトプット(目に見える成果)に縛られて慌ただしくゴールをめざす。まるで、目的地を入力したら後は何も考えずに指示通りに進む、カーナビを使ったドライブみたいです。カーナビのない時代、道に迷ったり遠回りしたりと、とても効率的と言えるものではありませんでした。しかし、道中には予想だにしない出会いや発見があり、それもまたドライブの楽しさでもありました。
立ち止まったり、寄り道したり、そんな時間は無駄ではないのか、という考え方もあるかと思います。しかし、自分がふと気になったことを面白がるという実体験は、体験を伴わないどんな知識より重要ではないでしょうか。それが将来、どのように広がり、どんな人やモノとつながっていくかは誰にも分かりません。一つ確かなことは、将来何かとつながる可能性のある貴重なタネを一つ蒔いたということです。便利になった現代社会だからこそ、敢えて回り道や寄り道をしながら好奇心・探究心を広げておくことが重要となっているのではないかと思います。