Feel度 Walkってなに?(気づきの感度を高めよう!)

幼児も小学生も中高生も大学生も大人も関係なく、なんとなく気になるものを追いかけて、あてもなく歩く。身近なところにあるちょっとした何かを発見して歩くのは大人も子どもも本当に楽しいものです。こうしてみつかったちょっとしたモノ・コト・ヒトを集めてゆくだけで発見の感度=Feel度が上がります。だからFeel度Walkです。

これは探究学習の先駆けとなった東京コミュニティスクールの元校長である市川力さんをはじめとする探究学習の先駆者たちがたどり着いた、新しい時代の新しい形の学びです。

背景~主体的に学ぶための日々のストレッチとして

アクティブ・ラーニング、探究型の学習、近頃では頻繁に目にするようになりました。しかし、実際に行うとなると、「どうやって進めたらいいの?」、「テーマはどうやって決める?」、「みんな同じテーマでいいの?」、「ゴール、アウトプットをどんな形にする?」など、探究する力や主体的に学ぶことの重要性は分かってはいても、なかなか難しいところがあります。

また、「自分の好きなことに没頭できる十分な時間がない」、「成果を気にしてなかなか自分の気持ち・感じたことに正直になれない」、「自分は興味あるけどこんなものでいいのだろうか?」と、言わば狙ってしまって、本来の探究学習にならないということが多いのではないでしょうか?

実は、探究の原点は、身近なちょっとしたことを見逃さないところにあります。私が子どもの頃は、幼稚園や学校の生き帰りでの寄り道・回り道、道端のちょっとした気になったもの(例えばアリの巣)を立ち止まってじっと眺めたりと、毎日自然と行っていたことなどがこうした活動に当たります。

テディスのブロック・サイエンス、ロボット・サイエンスでは、回ごとに学習テーマがあり、テーマについて実験を通して発見・理解し、活用することを学びます。しっかりとテーマにフォーカスしてもらう上で大切なのは、授業の導入部分で子どもたちの「何で?」「へぇ~」といった興味・関心、驚きを引き出し、子どもたちがテーマによりフォーカスしてもらうことです。つまり、テディスのブロック・サイエンス、ロボット・サイエンスは、設定されたテーマにフォーカスした学びです。そのためにも気づきの感度はとても重要なのです。
逆に、「Feel度 Walk」にはテーマはありません。子どもたちそれぞれが何となく気になったことをあてもなく追いかけます。言い換えれば、気づきの感度を高め、気になったことにフォーカスして探究するための日々のストレッチのようなものです。忙しい現代の子どもたちにとって、ある意味一番不足している部分であり、また好奇心・探究心を育てる上で幼少期に身につけておくべき、最も重要なことの一つであると考えています。これだけ身につけておけばよいと言っても過言ではないと思います。

なんとなく、あてもなくって・・・大丈夫?

Feel度Walkのキーワードでもある「なんとなく」、「あてもなく」歩き、気になったものを写真に収める、本当にそれだけ?そんなことしてどんな意味があるの?と思うかもしれません。また、自分の「気になるもの」と言われても何をしていいのか困ってしまい、スタート地点をうろうろとしてしまったり、気になったものを撮影するためのカメラで動画を撮るだけだったり、最初は何をしたらよいかも分からないかもしれません。

しかし、最初は戸惑っていた子どもたちは、次第にそれぞれ気になった方向へ動き出し、いつの間にか次々と気になることを写真に収めていきます。終盤には、お互いに気なったものを見せ合ったり、実際にその場所に行ってみたりと、いつの間にかコミュニケーションも活発になってきます。そして、歩くのを終えた後、撮ってきた写真の中から一枚を選んでみんなでシェアしたり、絵に描いたりします。絵を描くときに写真を拡大したりと、絵で表現する過程で新たな気づきが起こることもあり、本当に何が起こるか分かりません。

この不思議な感覚を言葉で伝えるのはとても難しいので、是非一度一緒に体験しましょう!きっと気になった何かを、「これ見て!こんなものあたんだけど。」と誰かとシェアしたくなることでしょう

Feel度 Walkの良さ

Feel度 Walkの良さを整理すると、以下のようになると思います。

  • 大人も子どももとにかく楽しい!
  • どこでもできる!
  • 特別なスキルが不要(写真を撮るだけ)で優劣がつかない!(凄いものでなくていい)
  • なんとなく、あてもなく、だから正解を追う必要がない!(アウトプットのプレッシャーから解放)

これまでFeel度 Walkを行ってきて、「コミュニケーションが活発になった」、「積極的になった(自信をもった)」などの効果を感じています。

特別なスキルが必要ない

スキルが必要なものだと、こんな風にしたいけど実現できない、ということや出来上がりに優劣がどうしてもついてしまいます。しかし、気になったものを写真にとるだけのFeel度Walkでは優劣は存在しません。また、いわゆる「すごいもの」でなければ・・・というプレッシャーからも解放されます。

身近にある気になるものを発見していく活動は、知らず知らずのうちに子どもたちを「すごいもの」からのプレッシャーから解放し、探究の原点である好奇心をよみがえらせてくれるものだと考えています。これは教師も講師も同じで、時間内にある一定のレベルのアウトプットを子どもたちに求める必要がなく、子どもだけでなく、教師・講師も「すごいもの」というプレッシャーから解放され、一緒に楽しむことができるのです。

正解を追う必要がない

子どもたちは無意識の内に、いわゆる「正確」に向かおうとします。しかし、「あてもなく」、「なんとなく」のFeel度 Walkでは、正解がありません(見えません)。ですので、本当に自分の気持ちに正直に気になるものを追いかけることができます。そして、それをみんなでシェアして楽しむことで、自分に自信がつき、積極的になっていきます。