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失敗を恐れないチャレンジャーに育てる

2011年にロボット・プログラミング教室を開校して10年目となりました。その間、いろいろな出来事がとありましたが、ここ最近の子どもたちの様子を見ていて、とても気になっていて、何とかしたいと思っていることがあります。何とかするためのテディスの「新たな試み」について、3回に分けて、お話ししていきたいと思います。

第1回「失敗を恐れないチャレンジャーに育てる」
第2回「探究心・好奇心の礎」
第3回「テディスの新たな試みのスタート」

開校10年目の節目

法人化する前を含めると、レゴ教材・ロボット教材を使用したロボット・プログラミング教室を始めて、節目の10年目となりました。東日本大震災のとき、会社勤めを辞めて開講を準備しているときに、東日本大震災が起こりました。ですので、開校準備のときのことを今でもとてもよく覚えています。

今ではロボット教室、プログラミング教室は多数ありますが、当時は「ロボット教室って何をするんですか?」「ロボットを作って何を学べるんですか?」とロボット教室の認知度はまだまだで、生徒4名でのスタートでした。

テディスは「試行錯誤」に特別こだわりのある教室です

こちらの記事でも書いていますが、教室名のTEDISは「Trial & Error(試行錯誤」と「Discover(発見)」を組み合わせた造語です。ロボット教室、プログラミング教室の多くが、試行錯誤して学ぶことを教育理念であげていますが、テディスは教室名にするくらい、試行錯誤にこだわっています。

誰でも間違うこと、失敗することは嫌なものです。でも新しいことを学ぶ際には、間違いや失敗はつきものですので、敢えて失敗させる必要はありませんが、子どもたちは成長の過程で小さな失敗を経験する中で、失敗への対処などを学んでいきます。

失敗自体は悪いことではなく、間違いや失敗を放置することがいけないのです。一度の失敗で、もう駄目だと落ち込む人ではなく、なぜうまくいかないのか、その原因を考えて何度でもチャレンジできる人になってほしいのです。

間違いや失敗を恐れ、避けようとする

これまで、幼稚園児から高校生まで、多くの子どもたちと接し、モノづくりの中での試行錯誤を通して学ぶ環境づくりに力を入れてきました。
その中でここ数年、一度の失敗で、落ち込み諦めてしまうケースが以前よりも増えてきているように感じています。また、間違ったことを言ってはいけないという気持ちからか、様々な問いかけや意見を求めた際に、「分からない」と言ったり、黙ってしまったり。あるいは、失敗しそうなことに対して、何だかんだ理由をつけて避けたり、とりあえず試してみることができなかったりと、間違いや失敗を避けよう、見られまいとする場面が見られます。

「探究型学習」や「アクティブ・ラーニング」など子どもたちが主体的に学ぶ教育の重要性が言われていますが、現実には言葉だけが独り歩きしているように感じてしまいます。

失敗だけでなく、成功したときも関係している

では、なぜ失敗を恐れ、避けようとするのでしょうか。失敗したときの経験だけでなく、成功したときにどのような経験をしたか、どんな言葉をかけられたのかも影響を与えています。

主に次の2つの点があるように感じます。

  1. いわゆる「すごいもの」でなくてはいけないというプレッシャー
  2. 他者と比べたり、他者の評価を気にし過ぎてしまう

「すごいもの」でなくてはいけない?

「やればできる!」の研究(キャロル・S・ドゥエック著)では、ほめるときの言葉の悪い例として次のようなものを上げています。

「そんなに早く覚えられたなんて、あなたはほんとに頭が良いのね。」
「あの絵をごらん。あの子は将来のピカソじゃないだろうか。」
「あなたはすごいわ。勉強しなくてもAがとれたんだから。」

2番目の例、「あの絵をごらん。あの子は将来のピカソじゃないだろうか。」は、「何か難しいものを描かないと、すごいと思ってもらえない」というメッセージを子どもは受け取ってしまう可能性をあげています。

実際、ロボット、プログラミングを学ぶ教室として思いあたる節があります。自由に自分のアイデアを形にできない子どもに、「すごいもの」を作らなくてはいけないと思い過ぎていることが多いように感じます。

レゴのモデル(組立図)についても、一昔前のレゴのモデルは、子ども自身が自分で考えてデザインしたり、動きを改良したりできる余地がたくさん残されていました。しかし、最近のモデルはそれ自体が完成形で、スキルが高くないと改造の余地がほとんど残されていないものが多くなっています。

本来、組立図のある、大人の価値観で「すごいもの」を作ることよりも、子どもが自分の力で何度も修正しながら作り上げたものが評価されるべきはずです。子ども自身が手を加えることを考えて。ちょっと不完全な部分を残しておいてほしいですね。

他人からの評価を気にし過ぎ

反対に失敗したときのどのような経験も影響しています。周囲の大人、あるいは友だちから個心ない評価を何度も受けたりすれば、自信もなくなりますし、上手くできない/失敗することを避け、失敗しそうな課題に挑戦しなくなってしまうでしょう。誰しも他人に評価は気になりますが、気にし過ぎるのはよくありません。

「すごいもの」でなくていい

では、子どもが成功したとき/失敗したとき、どのような言葉をかければよいのでしょうか。先ほどの、「やればできる!」の研究(キャロル・S・ドゥエック著)では、ほめるときの言葉は「努力して成し遂げたことをほめるべき」としています。また、失敗したときに伝えるべきは、「建設的な批判~失敗から何を学ぶべきか、何をしなければならないか」であって、まやかしの誉め言葉で慰めても将来の失望を招くだけと言っています。

positive

失敗というと悪いイメージがありますが、子どもが失敗しないように先回りするのではなく、子どもに失敗へどのように対処すればよいのかを小さな失敗から少しずつ学べるよう、どのような言葉を掛ければよいのかは、子どもの性格やそのときの状況にもよると思いますし、本当に難しいですよね。でも、失敗を建設的にとらえることができて、色々なことに何度でもチャレンジできるようになれたら、それこそ”すごい”ことだと思いませんか。

幸い、ブロックでつくるロボットは何度でも作り直せますし、プログラムも何度も修正可能です。
千葉のレゴ・ロボット・プログラミング教室「テディス」は、モノづくりにおける試行錯誤を通して、21世紀をしなやかなマインドセットで生きる力を育てる教室です。

次回は、探究心や知的好奇心に注目していきます。