夏休み講座2025 6/24(月)からお申込み受付開始! 詳しく見る

子どもの発達段階とプログラミング

  • URLをコピーしました!

小学生にプログラミングは早すぎる?発達段階から見直そう

近年、プログラミング教育の低年齢化が進んでいます。千葉市周辺でも、5〜6歳からプログラミングに取り組む教室が増えています。しかし、子どもたちの発達段階において「プログラミングスキルを本質的に理解・習得できるのはいつからか?」という点を見逃してはいけません。

ロボット教室テディスでは、子どもたち一人ひとりの発達を尊重し、「学びにハマるタイミング」を大切にしています。

小学低学年で理解できる内容は限定的

私たちの教室では、2013年の開校以来、ロボット・プログラミングを通して多くの子どもたちと関わってきました。その中で強く感じるのが、小学1〜3年生にとって、プログラミングの“概念”を論理的に理解するのは難しいということです。

たとえば「条件分岐」「ギア比」などは、大人から見ればシンプルな構造も、低学年の子どもたちにとっては抽象的すぎて理解が追いつきません。これは能力の問題ではなく、認知的発達の段階によるものです。

「概念の理解」には論理的・抽象的思考が必要

プログラミングの基本である「順次」「繰り返し」「条件分岐」。中でも「条件分岐(if文)」は、論理的な場合分けの理解が必要です。これは順列組み合わせの考えにも通じ、抽象的な思考を育てる重要な題材ですが、低学年にはまだ難しい場面が多く見られます。

場合分けの考え方を論理的に捉える練習として、「順列」の考え方を例に見てみましょう。
たとえば、レゴ®マインドストームEV3のカラーセンサーは7色(黒・青・緑・黄・赤・白・茶)を判別できます。このセンサーを左右に1つずつ使い、それぞれがどの色を読み取るかをすべての組み合わせで考えてみるとどうなるでしょうか。

まず、左側の色を「黒」と決めた場合、右側のセンサーは残りの色(黒~茶)の7通りあります。それらを順番に変えていきます。次に、左側の色を「青」に変え、同様に右側を順番に変えていきます。これを繰り返していけば、すべての組み合わせ(7×7=49通り)を網羅することができます。

これは、プログラムで言えば「入れ子のループ構造(ループの中にループ)」で処理されるものです。

このように、複数の条件に基づいて場合分けをするときには、「すべての組み合わせを漏れなく考える」ための論理的な視点が必要になります。たとえ色の数が少なかったとしても、このような考え方を小学校低学年の子どもたちが自力で理解するのは、まだ難しい段階です。

たとえば、カラーセンサーを使ってロボットでライントレースを行う場合、左右のセンサーがそれぞれ「黒」または「白」を検知する可能性があります。そうすると、

  • 左が黒、右が黒
  • 左が黒、右が白
  • 左が白、右が黒
  • 左が白、右が白
    の4通りのパターンがあることになります。

こうした4つのパターンを「覚える」ことはできても、「なぜ4通りになるのか」「なぜ順番に考える必要があるのか」といった論理的な理解までは、多くの子どもにとってまだ難しいと私自身は感じています。

これを単なる暗記で済ませてしまうと、本質的な理解につながらず、やがて壁にぶつかってしまうのです。

では、低学年では何を学ぶべきか?

小学校低学年では、「論理的に考える力」や「問題に気づく力」の土台を育てることが何より大切です。私たちテディスでは、以下のような活動を重視しています。

  • 身の回りの仕組みに気づく観察力を育む
  • 手を動かして構造の工夫を体感する
  • シンプルな機構や動きを「試してみる」ことで好奇心を伸ばす

このような学びの体験を通じて、「わかる楽しさ」「工夫する喜び」を自然と身につけることができます。プログラミング的思考の土台は、こうした体験の積み重ねで育っていくのです。

本格的なプログラミングはいつから?

私たちの経験では、小学4年生頃から論理的思考が深まり、プログラムの概念を理解しやすくなります。そのため、テディスのロボット・サイエンスコースは、小学4年生以上を対象としています。

  • 1年目:モーターとセンサーの基礎/順次処理・シンプルなループ
  • 2年目:条件分岐/複数ループの組み合わせ
  • 3年目以降:目的に応じた処理構成・自律型ロボット制作

このように、思考力とスキルの両方を段階的に伸ばすカリキュラムにより、無理なく本格的なプログラミングへとステップアップしていけるのです。

まとめ:焦らず、じっくり、学びのタイミングを見極めよう

プログラミングは確かに重要なスキルですが、発達段階を無視した「早すぎる学習」は、かえって子どもたちの自信を奪いかねません

低学年では、「論理的に考える土台」を遊びやものづくりの中で育み、高学年以降に本格的なプログラミングへつなげていくことが、子どもたちにとって自然な学びの流れです。

テディスでは、子どもたちの好奇心と挑戦心を育てながら、それぞれの成長に合ったタイミングでステップアップできる環境を整えています。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!