テディスのロボット・プログラミング教育の背景にある考え方
教え込むのではなく、子どもたちが自分の手と頭を使って考える主体的に学び・発見する、テディスの教育の背景にある考え方をテディスの特徴に絡めて説明したいと思います。
テディスの学び方の特徴
テディスの学び方の特徴を改めて整理します。
- コンストラクショニズムの基づいた教育手法
- 好奇心・探究心を開き、じわじわ温める活動
- 「みつかる」「わかる」「できる」を繰り返して試行錯誤して学ぶハンズオン学習
- グループ活動(協働作業)
コンストラクショニズムに基づいたロボット・プログラミング教育
テディスでは、マサチューセッツ工科大学メディアラボのシーモア・パパート教授が提唱する教育理論「コンストラクショニズム(*)」に基づき、レゴブロックやロボット教材を使用した「ものづくり」の中で、思考力と創造力(想像力)を駆使して、自分の手と頭を使って試行錯誤を繰り返して学びます。
また、オープン・アプローチ(**)を取り入れ、子どもたちの積極的な姿勢や柔軟な考え方を引き出します。また、自習形式ではなく授業方式を導入し、講師と生徒あるいは生徒同士がアイデアを交換しながら、答えのない課題を解決していきます。
「コンストラクショニズム(Constructionism)」とは、マサチューセッツ工科大学メディアラボのシーモア・パパート教授が提唱した教育理論/教育手法です。
「コンストラクショニズム」の考え方は、対極にある「インストラクショニズム」と比較することで分かりやすいと思います。「インストラクショニズム」では、知識は教師が一方通行的に与える(教える)ものであるのに対し、「コンストラクショニズム」では、知的好奇心・探究心を持って創造的な活動に没頭する中で、自ら知識を発見し、知識相互の関連付けをしながら作り上げていくものです。
答えが幾通りもあるような問題を「オープンエンドの問題」と言い、このオープンエンドの問題を課題として、生徒の多様性を積極的に生かした授業を展開していくことを「オープンエンドアプローチ」と言います。そして、答えの多様性だけではなく、解決方法や問題の多様性なども含めるようになったものが「オープンアプローチ」です。
では、オープンアプローチには、どのような教育効果が期待できるのでしょうか。子どもたちの積極的な姿勢や柔軟な考え方を引き出したり、他の子どもの考えと比較・検討することで交流を生んだり、さまざまな効果があると言われています。また、直接的な学習事項だけでなく、ものには色々は側面があること、他人の意見を知ろうとすることや、自分にないものを友だちから得ようとすること、人の気持ちを思いやることなども学ぶことができます。
好奇心・探究心を開き、じわじわ温める活動~Feel度Walk
幼児も小学生も中高生も大学生も大人も関係なく、なんとなく気になるものを追いかけて、あてもなく歩く。身近なところにあるちょっとした何かを発見して歩くのは大人も子どもも本当に楽しいものです。こうしてみつかったちょっとしたモノ・コト・ヒトを集めてゆくだけで発見の感度=Feel度が上がります。だからFeel度Walkです。
様々な理由で好奇心・探究心にフタがされてしまっている状態では、試行錯誤する主体的な学び方はできません。何となく気になるものをあてもなく追いかけてみんなで面白がるFeel度Walkは、そんな現代の子どもたちにとって不可欠な「学びの準備運動やストレッチ」のようなものです。
また、Feel度Walkでみつかったモノ・コト・ヒト、ロボット制作やプログラミングの学びでの原体験として、知識同士をつなげる重要な役割を果たします。
学びの3つのステップ~「みつかる」「わかる」「できる」
組立図を見て組み立て、プログラム例通りにプログラミングし、秒数やモーターの回転方向・回転速度などのパラメーターを変更する、残念ながらこれだけでは自分で「創り出す力」は身につきません。
テディスでは、学ぶテーマごとに、3つのステップを踏みながら理解を深めながら「知っている」を「できる」に変えます。
- 制作したモデルを使った実験を通して原理・法則を発見する」= みつかる
- 身の回りにある道具や機械、プログラミングでは取り組みやすいミッションで、学んだ原理・法則を実際に活用して、原理、法則の理解を深める = わかる
- 「理解したことを生かしてオリジナルのマシンを創る」= できる
みつかる
はじめに、学ぶテーマに関して、知っていることや実際に見たり聞いたり・体験したことなど、自分の考えを自由に発言・話し合います。正しいか間違っているか、ここでは一切問われません。また、必要に応じて自分たちでさらに調べます。テーマについて話し合ったり調べたりして、テーマへの興味や関心が高まったところで、簡単なモデルのカードをよく見て、正確に制作します。プログラミングでは、クラス全員で話し合いながら動作を確認するためのプログラムを作ります。
次に、制作したモデルは何をするものなのか?どのように動かすのか?自分の手と頭を使った遊び(実験)を通して、規則性や法則性、特長や良いところなどを発見してもらいます。プログラミングでは、新しく学ぶ要素について、どのような意味があるのか、何ができるのかなど理解するために必要な事項を実際にロボットを動かし動作を確認しながら発見してもらいます。学年・年齢に応じて、記録に残したり、実験結果を分析したりもします。
この段階で子どもたちから聞こえてくる言葉は「あっ!」とか「へぇ~」です。
わかる
身の回りにある道具や機械に学んだ原理・法則がどのように活かされているかを様々なモデルを制作して理解を深めます。どこに原理・法則が使われているかをしっかりと確認した後、制作したモデルを目的に沿って改造したり、改良したり、モデルをいじくり回すことで理科を深めるのです。最初に制作するモデル自体は完成されたものでなく、不完全な部分があったり、より良いものに改良できるもの、原理・法則を生かして改良できるようにデザインされていますプログラミングでは、新しく学んだ要素を活用できる取り組みやすいミッションに挑戦して様々な活用方法を試します。
この段階で子どもたちから聞こえてくる言葉は「あぁ、そういうことか!」です。
できる
学んだ知識を活用して、問題解決型アクティビティなどに挑戦します(時にはグループで課題に挑戦します)。目的に合うようにひとりひとりが設計を考え、手を動かしてロボットを組み立てていきます。強度が足りなかったり(構造)、思っていたように動かなかったり(動くしくみ)、一度で成功することはほとんどありません。講師は教え込むのではなく、子どもたちが試行錯誤の中で自分自身の力で答えが見つかるようにサポートをします。うまくいかない原因を探し出し、試行錯誤しながら問題を修正していきます。プログラミングでは、ロボコンを題材にしたミッションにチャレンジして、試行錯誤して学んだ内容を実際のプログラムで活用できるようにしていきます。
ここまで来ると、言葉ななくとも子どもたちの顔は達成感と自信に満ち溢れています。
グループ活動(協働作業)
テディスは、少人数制グループ授業を実践し、一人ひとりの個性を尊重しながら、グループで話し合ったり、協力して作品を制作したり、グループで問題解決アクティビティに取り組んだりもします。協働作業では、一人では不可能なものを制作する楽しさを感じてもらうことが第一です。
自分のアイデア・意見を表現する、他者のアイデアや意見を聴く、他者のアイデアから新たなアイデアを考える、ディスカッションを通して新たなアイデアを生み出すなど協働のレベルは、年齢や発達段階によって様々です。
自分の考えを表現したり、相手の考えを聞き理解したり、話し合いの中で意見の衝突も体験します。折衷案で妥協してしまい、失敗することもあるかもしれません。意見をぶつけ合う中で、一人では到底思いつかないような解決策にたどり着くこともあるでしょう。子どもたちの協働作業をより良い方向に導くことも講師の重要な役割です。
また、特に小学生は学ぶ姿勢が身についてない時期でもあります。自習形式ではなく、講師が学びをリードしていく授業形式とグループ授業により学ぶモチベーションを高めるとともに、自然な形で学び方や学ぶ姿勢を身につけることができます。
制作したオリジナル作品については、お友だちとシェアします。相手に自分の作品の特徴や良さを伝えるには、順序よく説明したり、適切なことばを選んだり、自分のアイデアを他の人にわかりやすく伝えるための工夫が必要です。また、他の人のアイデアを聞くことで、様々な問題解決の方法があることを理解し、多様な考え方を受け入れる資質が育ちます。
ロボットから広がる子どもたちの可能性
ここまで、テディスではどのように学んでいるのかについて整理をしました。テディスは、ロボット・プログラミングの教室ですので、ロボット制作の知識やスキル、プロフらミングの知識やスキルが身につくのは当たり前のこととして、ロボットを作る過程で、問題を解決するチカラ、諦めずにやり抜くチカラ、協働するチカラなどを身につけることを目指しています。また、「Feel度Walk」にて、その原動力となる好奇心や探究心をじわじわ温める活動にも力を入れています。
21世紀をしなやかにたくましく生きるためのマインドセット
失敗は成長の機会と捉えるしなやかマインド
オリジナル作品の制作では、一度ではうまくいかず、何度も問題点を見つけ出し修正していきます。こうした大変な思いをして完成したときの達成感は格別で、子どもたちに自信を与え、「やればできる」という姿勢が身につき、ますます新しいことにチャレンジするようになります。
ロボット・プログラミングのスキル・知識
自分の力でみつかったこと、そしてハンズオンで様々な活用例を学び、最後にはゼロからオリジナルの作品を作り上げるとう3つのステップを通して、知識は単なる「知っている」から「できる」へと変わります。
最初の2つのステップは、原理・法則を理解するために様々な活用例を学び、原理や法則の概念を理解すること(共通点をみつける)、抽象的に理解すること助けます。実体験を伴ったハンズオン学習ですので、概念化や抽象化が難しい年代の子どもにとっても理解を助けます。また、最後のオリジナル作品の制作では、抽象化した知識を、今度は目的に沿った形へ具体化しなくてはなりません。こうした抽象化・具体化を繰り返す作業は、学び方を学ぶことでもあり、学び続けることが重要な現代において、とても意義のある重要な学びと言えるでしょう。