レゴ・エデュケーションの変化
今回は「レゴ・エデュケーションの教材について思うこと」を書きたいと思います。
2019年末の「空気力学セット」と「エネルギーセット」の販売終了に続き、2020年12月には当教室のブロック・サイエンスコースで使用している教材のほとんどが販売終了となりました。そして2月には、なんとマインドストームEV3の今年2021年の6月末での販売終了が発表されました。EV3に至っては年明けからの値上げを発表していたのに。。。
思い起こせば、2015年。レゴエデュケーションのデュプロ教材「アーリーストラクチャー」の販売終了時、代替品はありませんでした。この頃から、レゴエデュケーションは舵を切り始めていたのだと思います。以降の販売終了製品を整理してみます。
- アーリーストラクチャー
- 空気力学セット
- エネルギーセットセット
- アーリーシンプルマシン
- シンプルマシンセット
- サイエンス&テクノロジーモーター付基本セット
2015年のアーリーストラクチャー、2019年の「空気力学セット」と「エネルギーセット」は代替品なし。昨年末の3製品の販売終了は発表時点では代替品なしでしたが、年が明けて「BricQモーション」が発表されました。しかし、レゴエデュケーションのサイトにあるレッスンプランを見る限り、コンセプトは異なるようです。
EV3も直接的な代替品はなく、SPIKEプライムに統合とのことです。
新製品のレッスンプランについては、SPIKEプライムのレッスンプランは、ベースとなるプログラムがすでにあり、パラメーターをいじるだけのようなイメージで、プログラミングの要素はほとんどなく動きの調整をしているだけです。
低学年におけるレゴ製品でのプログラミング教育の難しさは、玩具になってしまうことだと考えています。プログラミングやものづくりの楽しさを知るきっかけとしてはとても良いのですが、それが知的好奇心やこんなものを作ってみたいにつながっていかなければ、教育としての意味合いは小さいでしょう。
構造や機構の部分に目を向けても、一昔前のレゴのベースモデルは本当に基本的な部分だけで、あとは自分で考えるというものであったと思います。リテールの製品も特殊部分ばかりが増え、見栄えはとてもよくなっていますが、自分で工夫する、試行錯誤して改良する要素は大きく減っているように思います。
あまりにもセットの組立図のモデルが完成され過ぎていて、子供がモデルを改良しにくかったり(改悪になる)、何度でもやり直しがしやすい(試行錯誤しやすい)というブロックの良さを生かせる部分が減り、ほとんどの子供にとっては単なる玩具になってしまう可能性も少なくありません。
教育では、至れり尽くせりが良いとは思いません。これからの時代、答えのない課題に直面し、考える力が重要なのは明らかです。一方で、便利な世の中になって、自分で考えて工夫するという部分が減っている(もちろん複数のものを組み合わせるなど工夫をしている人はいます)、それに慣れてしまっている大人も子供も自分で考える機会が減っています。生活が便利になるのはとても素晴らしいことですが、教育が考える要素を減らしてしまってよいのでしょうか。
レゴブロックの設計思想は素晴らしいと思いますし、精度も申し分ないです。レゴも民間の会社ですので、変化に対応しなければならず、また利益を出さなくてはいけないのも理解できます。でも、「レゴ・エデュケーションだよね・・・」と思ってしまいます。